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子供のメンタルを強くする〜マインドフルネスのススメ〜

こんにちは。Dr.パパスです。

新学期が始まる4月。

お子さんの環境も入園や入学といったイベントと共に大きく変わる時期かと思います。

学年が変わるとクラス替えによって友達環境が変わるといったこともあるかもしれません。

こういった環境変化はお子さんのメンタルに大きな影響を与えますよね?

 

今回は、子供のメンタルを強くする方法の一つとして「マインドフルネス」という手法に関して、

子供にはどういった影響があるのか?どのような手法が良いのか?

海外の論文を中心にまとめた研究を元に解説します。

原文のリンクはこちらDarren L.Dunning et al. Journal child psychology and psychiatry. 2018.

この記事でわかること
●マインドフルネスは子供の不安やストレスを減らしうつ病を抑制する

●年齢✕1分間、自分の呼吸にだけ意識させる

●効果が出るのを焦らずに、習慣化をまず目標に

結論:マインドフルネスによって子供は不安に強くなる

マインドフルネスは大企業でも取り入れられている

「マインドフルネス」というと皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

大人では様々な効果が報告され、Googleといった大企業でもマインドフルネスの習慣が取り入れられています。

マインドフルネスは何となくいいのは知ってるけどなぜ?

という疑問をお持ち方は多いと思います。

簡単にいうと「今ココに集中することで脳を休ませる」というものです。

 

様々な意志決定や創造的な仕事をするのに重要なのは言うまでもなく「脳」です。

脳は非常に働き者の臓器で、休む事なく常に活動しています。

何もしてない時でも考え事をしている際には脳は活動してますし、寝ている時でも記憶の整理をしています。

そのため、脳は意識的に休ませる必要があるのです。

この方法がマインドフルネスで、脳を休ませる事でより生産的な仕事ができるわけです。

リゾート地でのリフレッシュ、と似たような感覚というと分かりやすいでしょうか?

 

GoogleやAppleといった大企業は他が思いつかないような創造的な仕事をして成長してますよね。

大企業がマインドフルネスを習慣づけているのはそういった理由からなのです。

集中力や実行機能が向上する

ではマインドフルネスを子供に行うとどのような効果があるのでしょうか?

様々なランダム化試験(注1)を用いた総合的な解析であるメタアナリシス(注2)では、

子供に対するマインドフルネス介入は、「集中力」や「実行機能」が向上する効果がある

という結果が得られています。

実行機能というのは聞き慣れないですが「自制心」を育むために必要な機能です。

つまり、自分を律して物事に集中できるようになる、というわけですね。

 

メタアナリシスで効果が実証されているので恐らく事実に近いとは思います。

しかしこの結果は、比較対象が「何もしない」といった消極的な介入であった研究も含んだ解析になります。

子供に限らず人は注目されると頑張る(ホーソン効果)ので、マインドフルネスだけの効果ではなく、大人が関わったということが結果に影響した可能性を否定しきれません。

 

注1:ある介入(今回はマインドフルネス)の効果を検証するための最も良い研究手法。

注2:複数のランダム化試験を総合して解析する手法。科学的根拠が最も強いとされる研究方法。

不安が減ってうつ病になりにくくなる

一方で積極的な介入(例:健康教育をする、本を読ませる、など)を比較対照とした場合はどうだったのか?

先ほど紹介した集中力や実行機能の向上は、残念ながら差が出ませんでした。

しかし、不安やストレスの軽減、うつ病の減少が有意に認められました

 

もちろんこれらの効果は、上記のように消極的な介入を比較対象とした研究を含めても差を認めています。

積極的な介入と比較しているので、より「マインドフルネスに限定した効果」をみています。

今回の研究では、なぜそのような結果になったか?というのはわかりませんが、

マインドフルネスに子供のメンタルを強くする効果があるのは事実のようです。

ちなみに米国小児科学会も子供へのマインドフルネスを推奨しています。

マインドフルネスのやり方

マインドフルネスが効果に続いて、手法を解説します。

Dr.パパス

簡単なのは呼吸法です

子供でもわかりやすいのは呼吸法

マインドフルネスには様々な手法が紹介されていて、今回の解析でも研究によって方法はバラバラでした。

(マインドフルネスのプロトコルが決まってないのも研究結果が揃わない問題のようです)

例えば、五感を研ぎ澄ませる、ありのままの自分を見つめる、といった思考法も一種のマインドフルネスです。

しかしこういったものを子供に教えるのは難しいですよね。

私はいくつかの研究でも取り入れられていて、子供にも教えやすい「呼吸法」をやっています。

 

目をつむり、鼻から大きく息を吸って、鼻か口から大きく息を吐く、といった方法です。

ポイントは呼吸のみに集中させるため、息を吸えるとこまで吸い、吐けるとこまで吐くことです。

こうすることで、子供は余計なことを考えずに深呼吸を続けてくれます(慣れれば)。

 

お子さんがアニメを観るような年齢であれば、「鬼滅の刃」の炭治郎の修行シーンを見せると分かりやすいです。

炭治郎は「瞑想は集中力が上がるんだ」、と言ってましたが今回の研究からは証明されてません(笑)。

時間は年齢 ✕1分がオススメ

次に時間ですが、これは夫婦で見解が分かれた難しいポイントでした。

大人のマインドフルネス呼吸法では「20分」でやっているものが多いです。

なので子供は半分の10分くらいでいいかなと思っていました。

しかし、妻は子供に10分は長くない?5分くらいがいいのでは?と反論。

 

色々な論文の研究手法をみてみると、10分・2セットくらいが多かったです。

これは対象が中学生から高校生であり、7歳の息子に適応するのはどうかなと思いました。

小学校低学年を対照にした研究は少なく、最適な時間は不明です。

なので子供にとって無理のない時間を行うのがベストではないか、と考えました。

ちょうど調べていたところ、New York Timesのマインドフルネスの記事に

「年齢 ✕1分」が導入には良いとあり、コレだ!と思い、7歳息子は7分目標にしています。

環境作りも大切に

実際に呼吸法によるマインドフルネスをやっていると様々な障害が出てきます。

防音室があるわけではないので、周りの会話や生活音は子供の呼吸への集中を妨げます。

大人にとってのスマホと同様に、リビングにあるオモチャや漫画も集中をそらすには十分です。

いい意味で我が道をいく3歳娘がひらがなパソコンをやっていれば集中できるわけがありません。

(しまじろうの「し」を連発されて、私も笑いそうになりました)

 

ということで、子供が集中できるように何もおいてない静かな環境を作ってあげましょう

私は、マインドフルネスの際にはベッドルームに移動して窓やドアも閉めます。

リビングでやっていた時と比べて呼吸への集中が明らかに変化しました。

注意点

マインドフルネスの効果と方法に関して解説したので、最後に注意点をいくつか紹介します。

効果が出るまでには時間がかかる

ほとんどの研究が3ヶ月から4ヶ月という長期間の介入を行っていました。

長いものは半年のものもあり、やり始めてすぐ結果が出るとは限りません。

私も息子と始めてから20日近くが経ちましたが効果のほどはまだ実感できてません。

まぁでもコレは当たり前ですよね。

数日呼吸に集中しただけで不安が解消するようなら、抗不安薬なんて存在しないでしょう。

 

子育てになると効果の実感を早急に求めがちです。

まずは習慣化するのを目標にして、効果は後からついてくればいい、という気持ちでいましょう。

完璧は求めない

マインドフルネス呼吸法となると、お寺の禅のように動かずにいる、のをイメージしてしまうかもしれません。

しかし多動気味な子供(特に男の子)には動くな、というのは無理な話です。

最初は目をつぶっても、モゾモゾし続けると思いますが、大目にみてあげましょう。

呼吸に集中していくと自然にモゾモゾがなくなり、動かずに呼吸するようになります。

いきなり完璧は求められると嫌なのは大人でも同じですよね?

相手は子供ですので、最初は呼吸ことだけ意識させれば十分です。

時間に関しても、最初は1分から始めて徐々に延ばしていきましょう。

 

私のTwitterでは、瞑想修行として日々のマインドフルネストレーニングをつぶやいています。

進捗や効果を知りたい方は是非フォローしてみてください。

Dr.パパス

一緒に瞑想修行しませんか?

まとめ

いかがでしたか?

今回は、子供のメンタルを強くする方法の一つとしてマインドフルネスを紹介しました。

まとめると、

●子供を研究対照にした質の高い研究を参考にした。

●マインドフルネスは、子供の「集中力」「自制心」に良い影響を与える、かもしれない。

●マインドフルネスは、子供の「不安やストレス・うつ病」を減らす効果がある。

●マインドフルネスの効果的な手法は確立していない。

●研究で多くとられていた手法は、呼吸法。

●呼吸法は子供でも導入しやすい。

●「深呼吸」のみを意識させ、「年齢 ✕1分間」続ける。

●すぐに効果は出ないので、無理せず習慣化を目標に。

といった感じです。

 

大人も一緒にやると子供もやる気になるので、是非お子さんとやってみてください!

今回の記事が明日からの子育ての参考になれば嬉しいです。

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