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「泣かないの」「怒らないの」は危険!子供の感情制御

こんにちは。Dr.パパスです。

外食中や買い物中などの家庭外だと周囲の目を気にして、子供に対応することってありませんか。

そういう時に限って少し叱っただけで、お子さんが「泣く」「怒る」といったリアクションをされると親としては困ってしまいます。

ただ、この時にお子さんのリアクションを封じ込めてしまうのは非常にまずいのです。

 

お子さんの感情を受け止めることの重要性は様々な育児本に書いてあります。

「なぜ受け止めるのが重要なの?」と疑問を持たれる方も多いかと思います。

今回は、子供が感情をコントロールを学ぶ仕組みについて簡単に解説します。

今回の記事はこちらの本を参考に記載しました。

少し難しめですが、かなり読み応えのある本です。

この記事でわかること
●感情のコントロールには大脳辺縁系と大脳皮質の連携が重要

●大脳辺縁系から1次感情が湧き、大脳皮質が認知・判断する

●親が子供にとって安心する相手であることが最も重要

いきなり専門用語が飛び出して来ましたが、なるべく分かりやすく解説するので、

最後までお読みいただけると嬉しいです。

感情はどのようにコントロールされるか?

お子さんが感情を上手にコントロールできるように促すには、

感情がどのようにコントロールされるのか?をまず理解していただきたいと思います。

感情はどこから来るのか?

これが「脳」であることは理解できますよね。

では簡単な脳の構造と役割から説明します。

感情の始まりは大脳辺縁系から

こちらは脳において感情の制御に重要な部分のみを簡略化してものです。

大脳辺縁系はもともと本能に基づいた感情を抱く部分です。

「食欲」「性欲」「睡眠欲」などはここから来ます。

一方で、大脳皮質は他の動物を比較して哺乳類で発達している部分です。

これによって人間は理性的な行動をとることができます。

相手の感情に共感して協力をしたり、色々な思考をするのもこの部分です。

 

感情はまず大脳辺縁系から始まります。

以前の記事でも少し触れましたが、「怒りは2次感情で1次感情から起きる」とされます。

1次感情とは、「恐怖」「不安」「痛み」と言った感情で、自分にとって危険が迫っている時に感じるものです。

すなわち自分に近づく危険に対して「本能的に機器察知」している感情ですね。

まとめると、

大脳辺縁系において、本能に基づき、危険を察知し1次感情が湧き出る

ということです。

何か不測の事態が起きた時に、1次感情が湧き出るのは自然なことなんですね。

まだ経験の少ない子供にとってはなおさらです。

大脳皮質が情報を認知して制御

大脳辺縁系で湧き出た1次感情は、大脳皮質に伝えられます。

大脳皮質は人間らしい高度な情報処理を行う場所です。

ここは理性的な行動を制御している場所です。

そのため、大脳辺縁系から伝えられた1次感情の処理もここで行われます。

 

大脳皮質では、送られてきた一次感情がどの程度なのかというのを評価します。

それによってどういった行動を起こすか、を決めるわけですね。

辺縁系と皮質のバランスが大事

感情のコントロールには上で説明した大脳辺縁系と大脳皮質のバランスが重要です。

辺縁系から湧き出た1次感情を、皮質が評価し、大した程度ではないなと処理できれば冷静に対処できる、というわけです。

1次感情を上手に抱えて、安心感を覚えるため怒ったり、泣いたりする必要ありません。

このバランスが崩れると、子供のリアクションはおかしな方向に傾いてしまいます。

コントロールできていない状態とは?

過剰反応=キレる

大脳辺縁系>>大脳皮質の状態になるのが過剰反応です。

辺縁系から発せられた過剰な1次感情を、大脳皮質が処理できないわけです。

経験の少ない子供からすると、本能で感じ、湧き出てきた「恐怖」や「不安」というのは得体のしれないものです。

大人でも未知との恐怖に遭遇した時は混乱しますよね?

それと同じことが子供で起きた時に理性で制御できるでしょうか?

湧き出た1次感情というはもともと、「自己防衛」のためにあります。

そのため、1次感情が強いと自己を守るため「怒る」ことによって外敵から身を守る反応をするわけです。

解離反応=無気力

大脳辺縁系と大脳皮質の連携が取れなくなった状態を「解離」と呼びます。

これは非常にまずい状態です。

冒頭に述べた「泣かないの」とか「怒らない」と言ったように子供の感情を封じ込めるのを繰り返すことによって起きてしまいます。

辺縁系から伝えられた1次感情を、他者(子育てであれば親)が制御してしまうわけです。

本来であれば、伝えられた1次感情を経験して皮質が程度を判断できるようにするのが理想です。

しかし周囲の目などを気にするあまり、子供のリアクションを封じ込めてしますと、

大脳皮質が判断する機会を失ってしまいます。

その結果、1次感情の処理の方法がわからないままになってしまいます。

この状態が「解離」です。

こうなると自身の危機を本能が気づいて発した1次感情を受け取れなくなります

学校でいじめられても、登校し続けるようなパターンですね。

通常、自身に危機が生じていれば、それを避けるようにします。

しかし、気付くことができなければ避けようがありません。

そのため、イジメが続く要因にもなってしまいます。

解離状態では自己を大切にしないので、過食や拒食、自傷行為にも繋がります。

注意
一見いい子に見えてもそれは「解離反応」かも?

「解離反応」が怖いのは「周囲からみるといい子に見える」というところです。

1次感情が表出されないので、一見上手に処理できているように見えるわけです。

普通は不快に思うことをされてもリアクションがないのは要注意です

また、「解離」と「過剰反応」は突然反転することもあります。

一見いい子だった子が突然キレたりするのが、このパターンです。

どうすれば感情が制御できるように促せるか?

ではどうすれば、「過剰反応」や「解離」を防げるのでしょうか?

最も重要なのは親子関係

全ての土台になるのは良好な親子関係です。

子供にとって親が安心する存在になることが重要であり、

親のそばで安心することによって、湧き出る1次感情を安心して抱えることができます

そういった状態であれば、大脳皮質が1次感情の程度を評価し、冷静な対応ができるわけです。

 

赤ちゃんが泣いた時、お母さんはすぐに抱っこしてあげますよね?

あれば赤ちゃんが感じた不安を、泣くという行為で表出しているのです。

そこでお母さんが抱っこすることで、赤ちゃんは1次感情を安心して抱え、上手に処理することで泣き止みます。

赤ちゃんもお母さんに不安を理解してもらえたことが分かっているわけですね。

1次感情の社会化も重要

徐々に言葉を理解するようになってくると、感情を言語化することも大事になります。

これを「感情の社会化」と呼びます。

ある程度大きくなった子供でも自分がなんで怒っているのか、泣いているのか、

分かってないことってありませんか?

あれは湧き出た1次感情が何なのか分かっていないからです。

そのため、親が湧き出た1次感情の名前を教えてあげるのが大事です。

「おもちゃ取られて嫌な気落ちだったんだね」

「貸してもらえなくて悲しかったんだね」

といった具合です。

こうすることで、子供は湧き出た感情が、「不快感」「悲しみ」という理解ができるわけです。

相手が何者かがわかった方が対処しやすいのは子供も同じです。

子供のリアクションの奥の感情を受け入れて!

ある程度、年齢があがり子供が感情の処理方法を習得してきても、対処は変わりません。

過剰反応が多い子でも、解離反応が起きている子でも、とにかく大事なのは、

1次感情を理解して受け入れてあげることです。

上でも述べたように、皮質が1次感情を処理するには、程度を評価する必要があります。

それが上手にできないために問題が生じます。

そのため、親がしてあげれることは1次感情つまり不快な感情を受け入れることです。

子供一人で受け入れられないものを親が一緒に手伝ってあげるイメージですね。

もちろん、親が理解してくれることは子供の安心感にも繋がります。

「解離反応」が起きている時は難しいですが、親は子供から湧き出る1次感情を察してあげることが最も良い方法になります。

まとめ

いかがでしたか?

今回は子供が感情をコントロールする仕組みを解説しました。

まとめると、

①感情は、大脳辺縁系から湧き出る1次感情を、大脳皮質が程度を評価して処理することで制御する

②辺縁系と皮質のバランスが崩れると、「過剰反応」や「解離」が起きる

③感情のコントロールを助けるには、親が子供の1次感情を気づいて受け入れるのが重要

 

専門用語が多いので是非じっくり読んで理解してもらえたらと思います。

不明点はコメントいただければ可能な限り補足いたします。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

明日からのお子さんの感情コントロールにお役立ていただけたらと思います。

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