こんにちはDr.パパスです。
先日、牛丼チェーン吉野家の常務が不適切発言をして大炎上しましたね。
【速報 JUST IN 】吉野家HD 女性を蔑視する不適切発言の常務取締役解任を発表 #nhk_news https://t.co/eFmiiSZLGl
— NHKニュース (@nhk_news) April 19, 2022
言い方に関しては全く擁護できないですが、子供時代の食生活は将来の嗜好にも影響するため、子育て世代にとっては重要な話題です。
「小さい頃からお菓子を食べていると虫歯になりやすい」
ぐらいであれば、まだ可愛いのですが、
「肉中心の食生活は癌のリスクと関連する」
であればいかがでしょう?
ちょっと食生活を変えてみようかな、なんて気にもなりますよね。
今回は、イギリスで行われた大規模研究を元に、意識したい食生活に関して紹介します。
●定期的に肉を食べる人と比較して、全く食べない人の癌のリスクは12%低かった
●個人的には魚中心の食生活を推奨
元論文はコチラ。Cody Z. Watling et al. 2022, BMJ Medicine.
目次
結論:肉料理が少ない事は、癌のリスクの低下と関連
結論を先に述べると、肉を食べる頻度が少ない人は癌のリスクも低いという結果でした。
肉を食べる頻度と癌の発症率の関係を検討
もともと加工肉が大腸がんのリスクを増やすというのは有名な話で、肉を食べる習慣と発がんリスクは様々な研究で指摘されていました。
では反対に肉を食べる習慣が少ない人は肉を定期的に食べると人と比べて、食べない人の発がんリスクはどうか、を検証したのが今回紹介する研究です。
- 定期的に肉を食べる:週6回以上
- 肉を食べる頻度は少なめ:週5回以下
- 肉の代わりに魚を食べる(ペスカタリアン)
- 動物性食品を全くとらない(ベジタリアン)
の4群に分けて比較してます。
肉を食べない人ほど癌の発症は低かった
図にまとめるとこんな感じです。
1週間のうちに肉料理を食べる頻度が少ないほど、発がんリスクが少ないことがわかりました。
肉料理が少ない人ほど、痩せている人が多いイメージですよね。
肥満は癌の発症を増加させるため、今回の結果は肥満の影響も調整してます。
12%って結構なインパクトですが、皆さんどう思われますか?
研究方法
ここからは研究の詳細に関して紹介します。
対象者は40〜70歳のイギリス人
対象者はイギリスのUKバイオバンクという健康データに登録されている40〜70歳の方です。
癌になったことがない方で、調査に同意してくれた方がピックアップされています。
同意いただけたのが47万人と結構な規模になります。
年齢の平均は55歳くらい。
BMI(肥満度)は平均26程度と日本人でいうと肥満ですね。
これは欧米の研究あるあるです。
女性が約60%とちょっと女性多めの対象になってました。
UKバイオバンク登録者にアンケートで調査
研究に同意いただけた方々にはタブレット式のアンケート調査をして肉料理を取る頻度を調査しました。
牛肉、子羊肉または羊肉、豚肉、鶏肉、七面鳥またはその他の家禽が肉料理に該当します。
肉料理と取る頻度で分けた結果、
- 定期的に肉を食べる人:約25万人(52.4%)
- 肉を食べる頻度は少なめの人:約20万人(43.5%)
- 肉の代わりに魚を食べる人(ペスカタリアン):約1万人(2.3%)
- 動物性食品を全くとらない人(ベジタリアン):約9000人(1.8%)
という内訳でした。
半分以上が習慣的に肉料理を食べていて、肉をとらない人は少数派であることがわかります。
私もこの分類でいうと週6回以上は肉を食べているので、定期的に肉を食べる人に入ります。
こうした集団に分けて、癌を発症するもしくは死亡する、まで追跡します。
追跡期間も平均11年と非常に長く、癌の研究にマッチしています。
研究結果
肉を全く食べない人は癌のリスクが12%低かった
肉料理を定期的に食べる人と比べると、そうでない人には特徴があります。
肉料理を食べない人は、痩せていて、非喫煙者が多く、若い傾向がありました。
またアルコール摂取量は少なく、学歴も高かったです。
これらの要素が発がんリスクに関与する可能性もあるので、統計学的にこれらの影響を調整する多変量解析という手法が取られました。
こうすることで上記要素の発がんへの影響を減らす事ができます。
肥満度以外の要素を調整した結果、全く肉料理を取らないベジタリンは14%も癌が少ないことがわかりました。
肥満度も調整しても癌が12%少ないという結果でした。
魚のみの人も8%低い
では肉の代わりに魚を食べる人はどうでしょうか?
肥満度以外の要素で調整した場合は、癌の発症が10%少なかったです。
肥満度も含めて調整すると8%少ないという結果でした。
和食は美味しい魚料理が多いため、肉を魚に変えるというのは受け入れやすい食習慣かもしれません。
私なりの結論
今回の研究結果を踏まえて、私なりの結論を最後に述べたいと思います。
魚中心の食生活がオススメ
少し意外だったのは肉料理の頻度を減らすことと発がんリスクの低下が相関しないことでした。
発がんリスクの低下が見られたのは肉をほぼ取らない食習慣というのが今回の結果です。
最近はビーガンという卵や乳製品も含めた動物性由来食品を全く食べない食生活も流行っています。
しかし子供も一緒に食べる食事を考慮すると、あまり偏った食事というのは教育上どうかなと思ってしまいます。
義務教育の過程で体験する給食では色々な物が出てきますしね。
であれば、肉料理は少なめを意識して魚中心の食生活がいいのでは、というのが私の結論です。
肉を減らす=癌が減るではないので注意を
こういった類の研究をみて気をつけたいのは、
「肉料理を減らす(ビーガンやベジタリアン)が癌を減らす」
という結果ではないという事です。
今回の研究ではあくまで、「肉料理が少ないこと」と「癌が少ないこと」が関連していたという事を証明しているに過ぎません。
論文の著者らも、ビーガン・ベジタリアンを推奨する趣旨ではないと述べています。
肉料理を減らすと癌が減る、というには実際にそういった介入をする集団をランダムに分けて作成して比較する必要があります。
統計手法で調整はしているものの、ベジタリアンやペスカタリアンは元々健康意識が高く、肉の摂取量以外にも発がんに影響するような習慣がある可能性も否定できません。
まとめ
いかがでしたか?
今回は肉料理の摂取頻度と発がんリスクの関係を検討した論文を元に子育て世代が意識したい食生活に関して紹介しました。
まとめると
●40〜70歳のイギリス人を対象とした研究
●アンケート調査で肉料理を食べる頻度を調査し、平均11年追跡
●肉を習慣的に食べる=週6回以上食べる
●肉を習慣に食べる人と比較して、魚食の人やベジタリアンは癌の発症が少なかった
●肉を減らす=癌を減らす、という研究ではないので要注意
●私は食育も考慮すると、魚料理中心を推奨
といった感じです。
とりあえず肉中心というのは避けた方がいいかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
明日からの育児の参考になれば嬉しいです。