こんにちはDr.パパスです。
最近ではSiriやアレクサといった人工知能が、我々の日常生活にも浸透してます。
医療の分野でも、心電図やCT・MRIなどの判読におけるAIの有効性が示唆されています。
技術の発達と共にどんどん身近になってくる人工知能:AI。
最近、そのAI時代における読解力の重要性を述べた育児本?を読みました。
内容がめちゃくちゃ面白かったので紹介させていただきます。
ご興味をもった方は是非記事の後に本書をじっくり読んでみて下さい。
●AIはすでにMARCHに合格する実力がある
●AIが苦手な読解力がこれからの仕事には重要!
目次
結論:AI時代に必要なのは読解力!
AIが発達すると、AIが得意な仕事はなくなる
AIがチェスのチャンピオンに勝った、プロ棋士に勝ったというニュースを見るとついAIの万能さを感じてしまいます。
実際にルールに基づき、行動を数学によって制御できる分野は非常に強いです。
AIというかコンピューターが記録する力が人間とは明確に違うのは分かりやすいですよね。
ハードウェアが進化した昨今では、膨大なデータを処理するのも簡単になっています。
元となる教師データ、例えば将棋であれば「こういう状況で打つべき次の一手」を膨大に用意すればデータに基づく統計の力でAIはプロ棋士並の棋力(将棋の力)を発揮できるそうです。
しかし、AI同士が将棋を打っているのを見るのが楽しいという人はなかなかいないでしょうから、プロ棋士という仕事がなくなることはない、と私は思います。
一方、ルールが決められた中で膨大な模範となるデータを活用できるような仕事はどうでしょう。
例えば倉庫の荷物は理路整然としたルールで並べられてますから、欲しいものを取ってくるという処理はAIにとってはわけのない仕事ですよね。
企業は雇用を守るのも大事ですが、収益を守るのも重要です。
そのため、AIなどの人件費がかからないものに代用できる仕事はなくなっていくわけです。
実際に倉庫の荷物を取ってくる仕事は、米国のAmazonではロボットが徐々に担っています。
AIに言葉の意味は理解できない
ではプロ棋士に勝てるようなAIはどんな事でも理解し、我々の職を奪っていくのか?
本書ではしっかり「No!」と書かれています。
なぜならAIは言葉の意味を理解することができないからです。
「私は秋田と岩手に行った」と「私は青木と岩手に行った」という文の違いは簡単に分かると思います。
前者は、私が秋田県と岩手県の両方に行った、という意味です。
校舎は、私が青木さんと岩手県に行った、という意味になります。
しかしAIは秋田と岩手が地名で、青木というのが人名というのを判断できないそうです。
私達は秋田と岩手が地名であり、青木というのが人名ということを常識に知っています。
この常識というのが非常にAIには難しいようで、一対一対応で定義づけ必要があります。
でも青山というのは地名でもあり、人名でもありますよね。
私達は文の流れからどちらかを判断できますが、AIにはそんな単純なこともできないようです。
言葉の理解には読解力が必須
では私達はどうやって言葉の意味を理解しているのか?
上でも触れたように文の流れを読む、つまり読解力が理解するためのキーになります。
主語が何で目的語が何なのか?
アレやソレとは何を指しているのか?
と言った基本的なことだけでなく、
文を読んで常識や知識にも基づいて意味を推定する
定義から具体的な例を想起する
と言うことも言葉の意味をよく理解するには重要だそうです。
これらの技術を用いた読解力がないと、学生時代は教科書、社会人はマニュアルを読んでも理解することができないわけです。
この読解力がAIの苦手な分野であり、AI時代に磨くべきスキルになります。
AIはMARCHレベルなら合格できる
東大合格を目指す「東ロボくん」
全く知らなかったのですが、日本の最高峰の大学である東京大学に合格可能なAIを作るというプロジェクトがあるらしいです。
その名も「東ロボくん」というらしく、そのプロジェクトの責任者が著者になります。
AIがプロ棋士に勝てるという現実を考慮すると東大に入ることも可能と思いますよね。
しかし、それはAIを知らない人の幻想のようで東大合格は今の所不可能なようです。
というのも上で述べたようにAIはルールが決まった中で行動を数学に落とし込めれば強いですが、大学受験、特に東大の入試となるとそうはいかないようです。
考えてみれば当たり前で出題者の意図を理解できなければ、そもそも解答できません。
つまり言葉の意味を理解できないAIには不可能、というわけです。
東大は無理だけど、大学受験の上位20%に入れちゃう
とは言え、AIに得意なデータの記録とそれに基づく統計データの使用で、センター試験はある程度の得点を得ることが可能なようです。
ご存知の方もいると思いますが、センター試験を一定の点数を取るとそのまま合格可能な大学や学部が存在します。
その中にはかのMARCH(明治・青山・立教・中央・法政)の学部も含まれます。
つまり大学全体でいうと上位の20%の大学に入れる実力を東ロボくんは有しています。
言葉の意味を理解できないというAIの限界があっても、結構なレベルの大学に合格できてしまうのは恐ろしいですよね。
しかも思考錯誤のすれば今後もAIは改良されていくであろうことは想像に難くないですし。
AIが代替できる仕事・できない仕事
日本の大学受験というテーマに絞ると上位20%に入ることも可能なAI。
優秀なAIは一度作ってしまえば人件費はかかりません。
企業は経営効率を考えればAI化というのは非常に有効な手段です。
そんなAI化によって、なくなる仕事とそうでない仕事がオックスフォード大学の研究チームから発表されていて、本書でも触れていたので一部を紹介したいと思います。
AIが代替できる仕事
●不動産登記の審査・調査
●手縫いの仕立て屋
●コンピューターを使ったデータの収集・加工・分析
●保険業者
●税務申告代行
●図書館司書の補助員
●融資担当者
●銀行の窓口
●荷物の発送・受け取り係
企業に問い合わせをした時の音声対応はまさにAIですよね。
銀行の窓口もどんどんATM化してくのは想像に難くないです。
AIが代替できない仕事
●危機管理責任者
●聴覚訓練士
●作業療法士
●医療ソーシャルワーカー
●栄養士
●口腔外科医
●セールスエンジニア
●小学校教師
●小中学校の教育管理者
医療系が多いのは私が医療系だから選んだわけではないです。
皆さんの仕事はどちらに入っていましたか?
全ては紹介していないので、気になる方は是非本文で確認してみてください。
Dr.パパス
AIが苦手な分野は何か?
言葉の意味を理解しコミュニケーションをはかるのは難しい
AIが代替できない仕事の特徴は、コミュニケーション能力が問われる仕事です。
人とコミュニケーションを取るには相手の言っていることを理解し、それに応じた返答を行う必要があります。
言葉の意味が理解できないAIには不可能な芸当ですよね。
本書ではSiriが例にあげられていました。
Siriは入力されたセリフからキーワードを推定し、検索して答えを出す能力に長けています。
しかしそれは本当の意味でセリフを理解しているわけではないのです。
試しに「美味しいラーメン屋を教えて」と「美味しくないラーメン屋を教えて」というと同じ解答をSiriは堂々と提示してきます。
前者はわかりやすく、「美味しい」と「ラーメン屋」から検索をかけているわけです。
後者に関しては、これまでオーダー(Siriの教師データにあたる)が「美味しくない」よりも「美味しい」と聞かれた回数の方が多いため、「美味しい」を検索した方が正解となる確率が高いためSiriが検索しているため、「美味しい」の検索結果が出てきます。
このように、人間にとってはごくごく簡単な意味の違いもAIは認識できません。
結果的に人とコミュニケーションを取る必要がある仕事は向いてないことがわかります。
読解力は現代の中高生も低下している
ではコミュニケーションをとるために必要な能力は何か?
冒頭でも述べたようにそれは読解力です。
東大や難関校と呼ばれる大学に試験では、出題者の意図を正確に読み解く必要があります。
東ロボくんが東大合格が不可能なのはこの壁を超えるの難しいからです。
つまり読解力を得ることができればAI時代にも生き残ることができるわけです。
しかし著者が作成したリーディングスキルテストという多方面から読解力を測る試験を、全国の協力を得られてた中高生に試したところ、悲惨な結果だったようです。
このテスト自体は非常によくできているようで、東大などの難関校に合格できる実力をもった生徒ほど正答率が高いという、良いテストに必要な特徴を有していました。
どのくらい悲惨だったのかの詳細は是非本書を読んでいただきたいのですが、簡単にいうとAIが苦手な分野に関しては日本の中高生もサイコロをふるのと同程度の正答率だったようです。
つまり一般的な日本の教育を受けているだけでは、これからの時代に必要な読解力を身につけるのは難しいだろうというのが著者の主張です。
プログラミングや英語よりも先にそっちやれよ、っていう感じですね。
確かにその通りで、勉強するにも教科書の意味が分からなければ勉強しようがないですからね。
感想
読解力を鍛えるにはどうしたらいいか?
残念ながら本書には、どうやったら読解力を鍛えられるか?という点は書いてません。
調査したものの、有意義なデータがとれなかったと述べられていて、非常に真摯に感じました。
とりあえず読書の時間は関係ないらしいです。
Twitterでも触れましたが、私は小さい頃に読書はほとんどせずに漫画ばっかり読んでました。
しかし自慢ではないですが読解力に関しては自信があります。
現代文は勉強したことなかったですがセンター試験では1問しか間違えませんでした(ドヤっ)。
本こそ読まなかったものの、漫画はとにかく本気で読んでました。
セリフやキャラクターの表情などをじっくり読み、先の展開や伏線を探るのが大好きでした。
読む対象はともかく、著者の意図を考えるのが大事なのかもしれません。
親が子供にしてあげられることは?
では親世代が子供に意識してあげられることは何でしょう?
私が思うのは意味を理解してるかを確認してあげる、という事です。
読書が好きでも意味がわからず字を追っているだけかもしれません。
漫画が好きでもただ絵を見ているだけかもしれません。
是非読み終わった本や漫画についてお子さんと話してみてください。
そうすることで理解の程度を知り、話し合うことで理解も深めることができます。
著者の意図は著者にしかわかりませんが、答えが書いてある本や漫画もあるのでそれを当て合うのも面白いですよね。
ちなみに漫画の伏線回収とかは個人的には良い題材かなと思います。
(コレは私の考えなので科学的根拠はないのでご容赦を)
まとめ
いかがでした?
今回は日本のAI界の第一人者で東大合格を目指す東ロボくんの製作者である著者が書かれた
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本を紹介し、私なりの読解力を鍛える方法を紹介しました。
●AIは東大は無理でもMARCHレベルは合格できる
●AIは言葉の意味の理解は難しい
●相手の言葉の意図を理解するには読解力が重要
●読解力に基づくコミュニケーションはAIは苦手
●AI時代に生き残るために必要なのは読解力
●読解力の鍛えるために子どもと本に関して対話しよう!
以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
最初の部分はAIに関しての説明なので、子育つ世代が興味を持つのは第3章からかもしれません。
私はAIに関する勉強もできて大変面白い本でした。
リーディングスキルテストに関する内容やAI化で変わる職業に関しては必見です。
続編もあるのでこれから読むのが楽しみです。
皆さんも是非興味を持たれたら読んでみて下さい。